元スタッフのSNS投稿から考える「感謝」と「時間の使い方」
美容室のオーナーとして、そして僧侶として日々を過ごしていると、心に残る出来事があります。
今日は、以前のスタッフのSNS投稿をきっかけに「感謝の心」と「時間の使い方」についてお話したいと思います。
元スタッフのSNS投稿を見て感じたこと
ある日、今働いてくれているスタッフからこんな報告を受けました。
「オーナー、前にいたスタッフがSNSでこんなこと書いてましたよ」と。
その投稿にはこうありました。
「美容師免許をとっても最低賃金。
そんな現実にモヤモヤして、自分の手で人生を動かしたいと思った。
安定が好きなはずやのに、気づけば独立に向けて動き出してる✂️✨」
正直、腹が立ったわけではありません。
ただ「ふ〜ん」と感じると同時に、少し寂しい気持ちになったのです。
美容師免許はゴールではなくスタートライン
給料は「免許」ではなく「お客様の喜び」から生まれる
なぜかというと、その子が感じている「最低賃金」というのは事実ではなかったからです。
美容師免許をとったからといって、すぐに給料が上がるわけではありません。
免許はあくまでスタートライン。そこからどれだけお客様に喜んでもらえるか、その積み重ねでようやく対価が生まれます。
サロンとしてのサポートもあった
その子はうちにいた頃、ミニモを使って300人近くのモデルさんに施術をさせてもらいました。
カット代無料、カラーやパーマも薬剤代すらいただかない破格で。
お店としては赤字になるくらいの支援をし、その時間の時給まで支払っていました。
それは「未来の美容師として成長してほしい」という願いからでした。
けれども、その思いやりに気づけず「最低賃金やから」と投稿してしまった。
その姿に、私は寂しさを覚えました。
感謝の心を持つということ
「自利利他円満」の教え
仏教には「自利利他円満(じりりたえんまん)」という言葉があります。
これは「自分の利益と他人の利益が共に満たされてこそ、本当の幸せがある」という意味です。
近江商人の「三方よし」にも通じる考え方です。
練習の場を与えてくれるサロン、モデルとして協力してくれるお客様、薬剤を用意する環境。
すべては「他者の思いやり」で成り立っています。
感謝を忘れると応援されない
「自分だけが損をしている」と思う心では、どこへ行っても応援はされません。
独立すること自体は素晴らしいことですが、「感謝や思いやりを忘れた独立」は長続きしないのです。
環境のせいにせず、自分を見つめる
「忙しい」「給料が少ない」は誰でも言える
環境や人のせいにすることは簡単です。
けれども本当の成長は「今の自分はどれだけ人に喜んでもらえているか」を問い直すところから始まります。
過去の出来事から学ぶ
その元スタッフからは、退職後も税金のごまかしを頼まれたり、無認可で美容行為をしたり、ネットワークビジネスに若い子を誘ったりと、いろいろ迷惑をかけられました。
それでも私は「それも学び」と捉えています。
人は誰しも過ちを犯すもの。その中で気づいて変わっていけることこそが尊いからです。
今のスタッフに伝えたいこと
私は今、一緒に働いてくれているスタッフに強く伝えたいことがあります。
それは 「感謝の心を忘れないでほしい」 ということです。
「忙しい」と言わずに、誰かに「ありがとう」を伝える時間をつくってほしい。
「自分だけ」ではなく「お客様」「仲間」「社会」へと喜びを広げられる美容師になってほしい。
美容師であり僧侶である私が強く思うのは、人は一人では生きられないということです。
支えられ、助けられ、見守られて、ようやく歩んでいけるのです。
まとめ:ありがとうを言える人生を
「忙しい」「給料が少ない」「環境が悪い」――そんな言葉は誰でも出てきます。
けれども、その言葉より先に「ありがとう」と言えるかどうか。
それが人生を豊かにする分かれ道です。
今日も働いてくれているスタッフ、そしてご来店くださるお客様。
そのすべての「ご縁」に感謝して、一日一日を大切にしていきたいと思います。
合掌。















